もののけハロウィンとは

広島県三次市(みよしし)は、江戸時代以降、現代にいたるまで、絵本や絵巻、漫画の題材にもなり、全国の広い範囲にわたって伝承されている妖怪物語「稲生物怪録(いのうもののけろく)」の舞台であることから、「もののけの里」と言われています。このたび、この「もののけの里・三次」にて、秋の収穫祝いと先祖の霊をお迎えし、悪霊を追い払う祭り「ハロウィン」の日に、災害や疫病など人知を超えた現象の由来するものとして、畏れ、時には敬いながら共存してきた「妖怪・もののけ」をテーマに、
「もののけハロウィン」を開催する運びとなりました。

「稲生物怪録」の主人公・平太郎

30日間に渡って襲い来る、妖怪達を物ともしない強靭なメンタルでコロナも斬る!

なぜ三次に妖怪?

魔王 さんもとごろうざえもん

三次で生まれた妖怪の物語『稲生物怪録』

 江戸時代、寛延2年(1749)備後国三次(現・広島県三次市三次町)に暮らす16歳の稲生平太郎のもとに30日間に渡って、怪異がおこったり、さまざまな妖怪が現れ、平太郎を脅かし続けます。平太郎はその脅かしに耐え抜き、最後に妖怪の頭である魔王の山本五郎左衛門さんもとごろうざえもんが現れ、勇気を讃え降参して立ち去っていくという物語です。物語には、現在も実在する場所や、主人公の平太郎をはじめ、当時実在した人物が登場します。また、さまざまな怪異・妖怪たちも怖いだけでなくユーモラスに感じる内容や絵も魅力の一つです。
 この作品が誕生してから、本や絵巻など、さまざまな形態で全国に伝えられてきました。また伝承されるにつれ、物語の内容も微妙に変化しています。明治時代以降においても講談、小説作品などにいかされ、最近では、漫画、映画、神楽などにも取り上げられるというように、今日まで伝承され成長し続けている、ある意味で、隠れた<大ベストセラー>な物語です。

日本初!≪稲生物怪録≫に特化した常設展示室!

三次市を舞台とした稲生物怪録の歴史や内容、魅力を三次市所蔵・寄託資料、湯本豪一コレクション、全国の所蔵機関等の所蔵資料をあわせて活用し、展示を通して最新の研究情報を全国へ紹介、発信します。

いろいろな形で語り継がれている物語です
常設展示室《稲生物怪録》イメージ図
あんうんぼうず あたまごま 猫又

『稲生物怪物語』のおもしろポイント!!

  • 何でも平気!
    主人公の平太郎へいたろう

    妖怪たちが、あの手この手で平太郎を脅かそうとしているのに、どんなことにも動じません。ついには魔王を降参させるほど、強い精神力の持ち主です!そんな平太郎、16才という若さにも驚きです。

  • 力士でも度胸がない?
    友人の権八ごんぱち

    稲生家の隣に住む権八は相撲取り。その腕前は、普段から平太郎に相撲を教えているほど!平太郎の家に妖怪たちが出てくるようになると、妖怪に自分も脅かされながらも何度も助けにかけつけます。

  • 江戸時代にもあった!
    妖怪ブーム

    平太郎と権八はお互いの勇気試しをするために、怪談を百話語り終えると、本物の妖怪が現れるとされる「百物語」を行いました。百物語は江戸時代に一種のブームになったとか。

  • 現代に伝わる
    魔王の【つち

    物語が伝わる中で平太郎の勇気を讃えた魔王が、ライバルを倒すために呼び出してほしいと平太郎に【槌】を渡すお話が登場します。
    現在、國前寺(広島市東区)に「ばけもの槌」として伝えられ、1年に1度「稲生祭」にて公開されています。

  • 30日間続いた
    あやかしの数々

    毛むくじゃらの一つ目妖怪が平太郎につかみかかったり、逆さの生首が現れたり。そんな怖い妖怪たちも登場する中、朝からほうきがひとりでに動き回り、掃除をしてくれる便利なあやかしもいたりして、思わず笑ってしまいそうなシーンもあるんですよ!

平太郎

参考動画

疫病を妨げてくれる妖怪「アマビエ」と「アマビコ」

アマ・アマコンビの力で”悪病退散” 、コロナ禍の早期終焉の願いを成就!

コロナ禍で大きな話題となったアマビエ(イラスト左)、それと同じく疫病を妨げるという妖怪アマビコ(イラスト右)。その原画とされるものの1つは三次もののけミュージアムが所蔵しており、三次と非常に縁が深い妖怪となっています。”悪病退散”を願うもののけハロウィンでもリアル造形のアマビコが登場するなど重要な妖怪になっています。